組織の学び -実践のふり返り-
ふり返れば
そこに道がある。
前を見ても
そこにはやはり道がある。
/聖域へと続く道 : 2006年秋 久高島
財団法人日本女性学習財団主催講座、
協働のための 実践力養成セミナー2007
「組織の学び -組織を成長させる“実践のふり返り”-」
に参加してきた。
当初の受講動機は、「協働」とは少し違っていた。
自分の仕事の研修やワークショップで、最近、
主目的、あるいは副目的として、
「仲間作り」「ネットワーク作り」を依頼されることがあり、
その「グループ」が継続していくための方法として
「実践のふり返り」を参考にしたい、
というものだった。
ところが、事前課題なるものが郵送で届き、中を見てみると・・・
“まずは実践”とでもいおうか、
「自分の参加している組織をふり返るレポート作成」
が提示されていた。
せっかくの機会なので、
私自身がが参加しているキャリアカウンセリングの活動グループの
この7年間の歩みをふり返ることにした。
当日は、全国各地から、NPOリーダーや行政関係の方など
「協働」に関係する女性たちが大勢集まった。
協働を委託する側、受託する側、それぞれの立場の話も聞け、
参考になった。
最も印象に残ったのは、
「ふり返り」は「反省」ではない
「次を準備する」「次を創っていく」ためにある
ということだ。
本来の「反省」もマイナス面だけ見るのではなく、
マイナス・プラス両面を客観的に「ふり返る」ことだったのではないかと
私は思うのだが、
ちまたでの「反省」のイメージはというと、
できなかったことが多く着目されたり、
マイナスの側面に目が向けられがちだ。
そして、どちらかというと自罰的な見方をする。
そういう点から言うと、今回学んだ「ふり返り」は、
より幅広い視野とより客観的な目もって行う作業なのかもしれない。
その手法もいろいろと研究されているようだ。
今回体験した「ふり返り」の方法は、
私が実践・体験してきた分野のことと
非常に似たようなプロセスや考え方がベースにあると感じた。
例えば、
人間関係やコミュニケーションのワークショップや、
ネイチャーゲーム、自然学校などにおける「体験学習」でも
「体験(実践)」と「ふり返り」を大切にしており、
しかも、マイナス面だけでなくプラス面にも着目する。
方法は違えども「ふり返り」にしっかり時間をかけるという考え方や、
全体を多方面から見るという点が似ていると思った。
「ふり返り」の中でも特に大切にされたのが、
相手の話をじっくりと「聴くこと」、
自分の話しをじっくりと「語ること」 だった。
いかに、日ごろ、
相手の話をまるごと(否定せずに)「じっくり聴く」ということが
おろそかになりがちか、あらためて気がついた。
しかも、自分の組織活動に関することを、組織のメンバーと
・・・となると、
職場などでもどれくらい行われているのだろう?
客観的な事実だけでなく、それに対する思い、気持ちも含めて
組織の成員が互いに語りあい、聴きあう時間を持つことは、
効率と結果重視の現代だからこそ必要なのではないか?
そんなことを考えながら、演習にとりくんでいた。
互いの話をじっくり聴きあうという行為が、
いかに、相互理解や、各人の気づきを深めるか、
そして、それが問題解決へとつながる礎になるか・・・、
あらためてその大切さをかみしめた。
(余談だが、家庭内でも同じだと思った・・・)
組織の実践(活動)を「ふり返る」こと・・・
それは、組織の成員同士が相互理解を図り、
理念や、目標、課題、方針、ルール、役割、そして思いや気持ちなど、
組織が組織として回っていくための基礎の部分を「共有すること」・・・
にほかならなかった。
突き詰めて言えば、この作業には
互いに「相手を理解しよう」「相手の言葉に耳を傾けよう」
「自分のことをわかってもらえるように伝えよう」
という気持ちがなければ成り立たないのかもしれない。
その「共有する」ということと、
共有するための「コミュニケーション」が、
組織内でも難しいし、
「協働」する組織間でも難しいというのが、
今回の参加者の共通の悩みの一つのように思えた。
研修は、実際に受講生が「ふり返り」の方法を演習で行いながら、
「ふり返り」を体感する2日間だった。
頭で覚えたものは時と場合によって思い出せなくなるが、
体感したものは、それと似たシチュエーションに身を置いたとき、
自然とよみがえってくるもののように思う。
まさに、「(組織活動の)実践をふり返る」実践の2日間であった。
そして、もちろん
“「実践をふり返る」実践” の “ふり返り” もあったのだった。
学習方法としても非常に参考になった。