パンダの思い出
上野動物園のジャイアントパンダ「リンリン(オス)」がこの世を去ったと
ネットニュースで読んだ。
1972年に「カンカン」「ランラン」が日本に来たという説明を見て、
心が、自分の子ども時代にタイムスリップしていった・・・
70年代、小学生だった私は、カンカンとランランを見に行った記憶がある。
あれは、4年生に上がる前の春休み。
母の妹にあたる叔母といとこ二人と、母の兄の子ども(いとこ)一人が泊りがけで遊びに来ていた。
メインイベントはなんといっても上野動物園へ行ってパンダを見ることだった。
その日の朝、出発を今か今かと待ちわびてワクワクしていた時、
叔母が言った。
「今、上野動物園に電話して聞いたらな、今日な、動物園、休みなんやて。
パンダ見られへんわ・・・。」
「ぎゃーーー!」
「えーーー!」
「うそーーー!」
三人のいとこと私たち三兄弟は、ショックでたまらない。
口々に騒いだ後は、ガックリしてしまった。
その様子を見た叔母が一言。
「・・・ウソや♪ 今日はエイプリルフールやしな(笑)」
「ぎゃーーー!」
「やられたーーーー!」
また子ども達はめいめい騒ぎ出した。
4月1日ならではのできごとだ。
だから未だに、この日が4月1日だったと日付まで覚えているのだ。
そんなこんなで動物園に行ってパンダを見た。
やたらと人が多かった。
テレビで見たような竹をムシャムシャ食べる姿を期待していたのだが、
日中昼寝中だったようで、白と黒のかたまりがあるようにしか見えなかった。
私としては、ちょっと残念だった。
その夜、どこかのビルの上の方の階で父も合流して食事をした。
そんな時に限って、地震が起こった。
ビルの上だったのでぐらぐら揺れた。
地震に慣れていた私はビックリしただけだったが、
地震の少ない関西からやってきたいとこ達は、
すぐさまテーブルの下にもぐりこんだっけ・・・。
パンダと地震・・・
いとこ達にとって東京への旅は、いろんな意味で印象深かったに違いない。
すっかり遠のいていた、子ども時代の記憶・・・
一頭のパンダの死によって、思い出した。
とても懐かしい、ほんわかした気持ちになった。
リンリン、安らかに・・・。